FMラジオのオンエアモニタリング -DB3010を使用したモニタリングの特徴-

公開日:2021/08/17最終更新日:2024/02/08

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民放AMラジオがFM化へ!

先日2028年をめどにすすめていたAMラジオのFMラジオ化への具体的な発表が総務省から行われました。AM放送を先行停波する実証実験の第1次実験を2023年に、第2次実験を2025年に予定、2028年秋にはAM波の停波を目指すと言う具体的な発表でした。
すでにFM補完が行われFM放送を開始しているAMラジオ各社ですが、単純にAM波を停波すればいいという事ではないので、これから数年をかけて様々な作業や試行錯誤が行われるものと思われます。

FMモニタリング

テクノハウスでは、ミキサーを中心としたスタジオ設備、音声コーデックを使った送信所への伝送システムと、どちらかというと電波を出力する前の段階の導入や提案を行ってきました。当然FM化に向けて新しい機材を提案していくと言うのがわかりやすいところですが、今回はあえて電波を出したあと、実際にリスナーに届く部分をいかにモニターするかについて掘り下げていこうかと思います。
ラジオを聞くのに必要なのはラジオ、コンポなどリスナーが家庭で使う機材がありますが、放送局ではエアモニと言って実際の放送をリスナーと同じようにモニターしています。場合によってはエアモニを聞きながら放送をすることもあります。この場合は遅延があると喋りにくかったりしますので、CM中と番組中を自動的に切り替えたりなど特殊な操作を行ったりもします。

エアモニを使う

スタジオでオンエアを聞きながら放送をするためには、ミキサーに音声を取り込む必要があります。そのため放送局向けのアナログ音声のバランス出力や、AES/EBUなど放送設備に接続しやすい出力を持ったFM受信機(FMチューナー)を使っています。
そんな専用の機材をいくつも扱っているのが、Deva Broadcast(ブルガリア)というメーカーです。
Devaにはモニタリング専用のDB3010や、電波状態の監視、測定が行えるBandScannerなどFM受信に特化した製品を多く取り扱っています。

 

DB3010 FM/IPリファレンスモニタはFM受信モニタに特化

DB3010はFM受信、モニタに特化した製品で、フロントパネルにはRF信号の受信レベル表示、L/Rモニターレベル表示、ヘッドホンジャック、スピーカーも内蔵してます。当然背面にはアナログ、AES/EBU出力を備えているのでミキサーや館内設備への音声出力として使用できます。
本体のスピーカーはL/Rだけでなく、本体内部ににも低音用のスピーカーを搭載した3ウェイ方式になっているので、1Uサイズながら十分な音量を確保することが出きます。

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RFレベルメーター、オーディオメーター

 

周波数はひとつじゃない

AM放送の場合、電波の到達範囲が広いため周波数ひとつで広いエリアをカバーすることができますが、FM放送の場合到達距離が短く遮蔽物の影響を受けやすいため、山が多かったりエリアが広かった場合、複数の送信設備を用意する必要があります。
複数の送信設備をもつ場合、同一周波数を使った同期放送を行う方法と、異なる周波数を使い電波の干渉を受けない放送を行っています。
同期放送の場合はいくつもある送信所でμ秒単位での同期が必要になるため、コストを抑えるために複数の周波数を使って放送を行っているFM局も多くあります。

DB3010は複数の周波数をモニタできる

DB3010は内部には複数のプリセットを保存することができるので、複数の周波数を全て登録しておくこともできます。

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フロントパネルの4つのボタンに周波数を割り当てることでワンタッチで切替え操作ができます。
写真では異なる放送局を割り当てていますが、自局の複数の周波数を割り当てて切替えてモニタすることもできます。
1箇所で全ての周波数をモニタするのはなかなか難しいとは思いますが、ある機能を使うことで、異なる複数の送信所の周波数をモニタすることも可能になります。

監視機能もあります

フロントパネルではRFレベルを表示していますが、当然RFレベルのモニタをしているので受信レベルが下った時にはアラームを出力する機能も搭載しています。

設定したスレッショルドレベルを下回ったときに、背面のコネクターから接点を出力することができるので、アラーム監視装置に取り込むことも可能です。
接点以外にもメールやSNMPにも対応しています。

 

ブラウザベースの監視画面がポイント

DB3010の便利なところはこの設定画面にあります。
ブラウザベースの設定画面なので、ネットワークに接続してあればパソコンやスマホからアクセスができて、設定の変更や監視ができるようになっています。

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この設定画面をよく見ると、右端にスピーカーのアイコンがあるのがわかるでしょうか?これがDB3010の面白いところで、IPストリーミング機能を使ってネットワーク越しに接続したパソコンやスマホから音声をモニタすることができます。
さらによく見てみると、Internet Radioの表示もあります。これはSHOUTcast / ICEcastを使ったインターネットラジオのモニタとしても使用できることを意味します。
国内ではあまりSHOUTcast / ICEcastを使った放送はありませんが、これが複数の周波数を使ったFM放送でポイントとなってきます。

Devaの製品はFMラジオのモニタリングに特化したメーカーです。今回紹介したDB3010はその場でも遠隔地でもモニタすることができる製品で、他メーカーのFMモニタとはちょっと違う便利な機能が搭載されています。

 

DB3010FM/IPリファレンスモニタ製品ページ

※2023/4/3追記:下記製品はヒビノインターサウンドでお取り扱いしております。

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