コミュニティーFMに必要な機材とは?

公開日:2018/08/17最終更新日:2023/04/04

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FMラジオと一言で言っても様々な種類があります。
大規模な放送局(ラジオ局)や、地域密着型のコミュニティーFMなどがあります。
設備としてはスタジオ、マスター、送信所など色々ありますが、今回はコミュニティーFMのスタジオ内で使用する機材についてご紹介したいと思います。

 

 

1.演奏所(マスター)から送信所までの音声伝送を行う

これまではISDN回線を使用した音声伝送が主流でしたが、ここ最近ISDN廃止の流れもありIP化が進んでいます。IP化により大幅なコスト削減につながっている局もあるので、どんな機材が選ばれるのかを調べてみました。

使用する回線によってアルゴリズムや製品の選び方が異なってきますが、やはり重要なのは低遅延で伝送できること。回線帯域がしっかり確保できる場合は非圧縮で伝送すればいいのですが、回線帯域が十分に確保できない場合は、圧縮してパケットサイズを抑えて伝送するのが望ましいです。

本線系統の伝送にはEnhanced apt−X(EaptX)を使用した音声圧縮ができるWorldCast Systems社の音声コーデックが選ばれる傾向が高いです。

最近はBluetoothイヤホンなどで、音質が良くて遅延が短いのが特徴である「apt-X採用」なんて商品をよく見かけると思います。
そうです、WorldCast Systems社の音声コーデックは、まさにそのアルゴリズムを使った音声コーデックです。
Eapt-Xアルゴリズムは、低遅延、高音質のアルゴリズムとして、多くの放送機器の音声伝送アルゴリズムとして採用され、送信所送りの回線などでISDNの時代から多く使用されています。

 

製品1:IPオーディオコーデック

APT IP CODEC(WorldCast Systems)

 

IPCODEC

 

EaptXを標準対応、パケット保管方式に対応し音切れのない音声伝送が行えます。
リニアPCM(非圧縮)での伝送での使用例も多いのが特徴です。

 

 

製品2:IPオーディオストリーマー/レシーバー

DB91-TX/RX(Deva Broadcast)

AAC、Mpegを搭載し、片方向の伝送用に作られたストリーマなので、バックアップ用低価格IP音声伝送装置としてご使用いただけます。

 

2.本線系統と予備系統の切替え

送信所送りの冗長化を行う際に、本線系統と予備系統を切り替えるタイミングが重要になってきます。近くなら手動で、、、なんて考えていると無音の時間が続き大切な放送に穴を開けてしまうかもしれません。近年ではそんな切替を自動的に行うシステムが多く構築されるようになってきました。

その動作もとてもシンプル

  • 本線系の無音を検知して自動的に予備系へ切り替える
  • その後、本線系が復帰したら自動的に予備系から本線系に切り替える

こんなシンプルな動作を行う装置がなかなかの人気なんです。

 

製品3:無音検知ユニット

RB-SD1IP(Sonifex)

RB-SD1IP_1

スレッショルドレベル、検知時間を指定して本線系、予備系の自動切り替えます。外部接点を使用した接点での切替にも対応していますがアラーム接点を使用した接点での切替も可能です。
そしてこの機材の一番の人気の理由は、第3のバックアップ系統を搭載していることです。
フロントパネルにUSBポートが有り、USBメモリーにwavファイルを用意しておくことで、本線、予備系統共に問題が発生した時に、USBメモリーからの音声(フィラーなど)再生が出来ます。

 

3.ラジオ局の音を作る

実際にFM波を送出するには、送信機に音声を入れるだけだと物足りない放送になってしまいがちです。
そのような場合、オーディオプロセッサーを入れて、実際にラジオから聞こえる音を局の色に合わせて調整をする必要があります。

  • 音楽を心地よく聴かせたい
  • トークをハッキリ聴かせたい
  • 他の局より良い音で聴かせたい

この”色”の調整の部分は局によってもエンジニアによっても異なってくるかと思いますが、オーディオプロセッサーを通して調整することによりエンジニアの意図する音をリスナーに伝えることができるようになります。

 

製品4:FMオーディオプロセッサー

DB-64FM(Deva Broadcast)

予め組み込まれたプロセッサーを使うでも良し、それらをベースに細かく調整して作り込むでも良し。コミュニティーエフエムで多く採用されているオーディオプロセッサーです。
ラジコなどでの使用実績もあり、サイマルラジオなどのネットラジオの音声の作り込みも可能です。

 

4.実際にラジオを聞いてみる

FMラジオ放送をしているなら、どんな音が聞こえているのかをモニターするのは当然です。
ラジカセやコンポで聞くのもリスナーの立場からすると重要ですが、エンジニアからするともっとしっかりとした音をモニターする必要があります。生放送中にモニターするエアーもノイズ混じりじゃちょっとさみしいので、プロ用のリファレンスモニターなんかはとても役に立ちます。

 

製品5:FM&IPオーディオリファレンスモニター

DB-3010(Deva Broadcast)

DB3010_1

この製品はXLRでアナログ、デジタルの両出力を搭載しているので、マスター設備やミキサーに入力するオンエアーとしてとても使いやすいです。
またIPストリーミングの機能を搭載しているので、ネットワーク接続ができる環境にあれば、DB-3010で受信した放送を、監視用ソフトを起動したパソコンで受信レベルの監視だけでなく音声モニター(音声監視)もすることが可能です。
1Uの本体にはスピーカーを搭載しています。
これにより、これまで必要だったセレクターやモニタースピーカーなどを無くすことができ、限られたラックのスペースを有効に活用できます。

 

5.スタジオを作る

 

テクノハウスでは単体機器の販売だけでなく、DHD.audio社製のミキサーを中心としたスタジオ設備のシステム導入も行っています。
DHD.audioのミキサーは国内導入10周年を迎えました、これまでに70台以上の導入実績があり放送の現場を支えています。

 

製品6:デジタルオーディオミキサー(2019/02/13更新)

SX2/コンパクトデジタルミキサー(DHD.audio)

sx2_top

 

スタジオシステムを構築する時に一番コスト的なウエイトを占めるのはミキサーだと思います。
なぜ放送用のミキサーが高いのか?それにはそれなりの訳があります。
PAミキサーや、低価格のミキサーは、様々な場面で使えるように色々な機能が盛り込まれています。そのため、生放送にも使えると思われがちですが、コミュニティーエフエムの場合はオペレーターがつかないワンマンスタイルの番組運用が多い傾向にあり、多種多様な機能よりもオペレーションが一人でもできるというところに主眼を置きます。
多種多様な機能があっても操作が複雑であれば、パーソナリティーへの負担が増え、本来の喋りに集中できなくなってしまいます。

ですが、DHD.audioから新たに発売された SX2バンドルセットは、ヨーロッパではすでに主流となっているワンマンスタイルの放送に最適化されていて、シンプルな操作面にモーターフェーダーを標準搭載することで、スイッチだけでフェーダー操作ができるパーソナリティーに優しいミキサーになっています。
見た目はシンプルな10フェーダーですが、入力数は多く、素材を切替えて使います。
レイヤーを切り替えることで16フェーダーのミキサーとしても使用できるので、ゲストの多い番組にも対応できます。

 

さいごに

このように、テクノハウスでは放送局に必要なスタジオ機材を多く取り扱っています。多くの導入実績がありますので、使い方に合わせた製品・用途をご案内できます。

またこれらの機材をセットアップするのに必要な特注製品の作成、販売も行っていますのでお気軽にご相談いただければと思います。

 

 

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※2023/4/4追記 プロオーディオ製品は現在ヒビノインターサウンドでお取り扱いしております。