Christieの提唱するAV over IPソリューション-Terraシリーズ-

公開日:2019/12/03最終更新日:2019/12/04

Christie-Terra-Receiver_front_technohouse

InterBEE2019の会場でテクノハウスはChristieコーナーにて「Terra」AV over IPソリューションを初出展しました。
Christieはデジタルシネマ・設備・イベント用プロジェクターや大型LEDパネル表示器を扱う映像機器メーカーですが、テクノハウスはプロジェクションマッピング用ビデオサーバー「PandorasBox」や、マルチスクリーンウインドウプロセッサー「Spyder X80」を取り扱っています。そのChristieが、今後のPro-AV業界とIPの融合をテーマに発表した「Terra」とは、どのような製品なのでしょう。

 

柔軟性に富んだ AV over IP

まずは、なぜ、AV over IPを導入しなければならないのか?という疑問です。

答えを簡単に言いますとIPの技術を流用することで、より柔軟性に富んだシステム構築を、簡単に行うことができるということです。
例えば、映像・音声信号を単純に接続延長したい場合、今まではSDIによるケーブル延長が多く使われてきました。しかし、4K60p等の高解像度信号を取り扱うようになった場合、対応ビットレートをもつ12G-SDIは延長距離に限界が生じています。そして、メタル同軸ケーブルによるSDIは、これ以上の性能向上が望めないと一般に言われています。一方で、IPの世界では既に10G、25G、40Gbといった広帯域のネットワークがすでに現実化しており、この既存技術を流用した非圧縮高解像度信号の接続は、容易にメリットを想像できます。

AV over IP

 

ただ、これだけでは高性能な延長機と変わりありません。
AV over IPでシステムを構築する場合、10Gで通信される信号はIP転送のそのものですので、間にネットワークスイッチをはさむことができます。(ビデオ延長機やKVM延長機では、光ファイバーケーブルやLANケーブルを使いますが、中を走っている信号はビデオ信号を加工したものなので、ネットワークとして扱う事は出来ません。)

 

netgear
10GBASE-T 48ポート SFP+ 4スロット スタッカブルフルマネージ レイヤー3スイッチ
NetGear「M4300-48XF」

 

スイッチをはさんでトランシーバー(TX)、レシーバー(RX)を複数台接続した場合、TXからの信号を自由に切り替えたり、切り替えた信号をマルチキャストを使って複数同時にRXへ届けることができます。例えば48ポートのスイッチであれば、理論上1入力47出力の分配にもできますし、47入力1出力切り替え機にもなり、その間を自由な入出力構成でシステムアップできるのです。(実際は2~3ポートをコントローラー等に使用します。)最初はミニマムなシステムを用意し、必要に応じてTX/RXを増設するのも簡単です。
これを、IPを使わずに行おうとしたとき、48×48のハードウェアマトリクススイッチャーを用意しなければなりません。そして簡単には増設ができません。

 

アメリカでは、既にIPによるマルチキャストは着々と実績を上げ、その多くはディスプレイ1000台単位でマルチキャストするといったスケールの大きいものです。Pro-AV業界では世界の2~3年遅れているといわれている日本も、もうすぐそのようなプロジェクトが立ち上がるでしょう。
マルチキャストで分配接続できるということは、RX側のプロセスで拡大することにより、ビデオウォールを構築することも可能となります。一方で、TX側の縮小機能を使い、帯域をうまく使うことで、マルチビューを行うことも可能です。

multicast_video_viewer

 

SDVoEとChristie

AV over IPの代表的なアライアンスとしてSDVoE(Software-defined Video over Ethernet)があります。業界をリードする企業が中心となり、映像・音声の伝送にイーサネット技術の採用を標準化し、ハードとソフトウェアプラットフォームを中心に、SDVoE技術を利用したシステム構築するために協力している非営利のコンソーシアムです。
創設メンバーはAQUANTIA、NETGEAR、SEMTECH、SONY、ZeeVee、そしてChristieと、Pro-AV業界、IT業界のリーディングカンパニーがそろっています。また、新たなメーカーも次々と参入しています。

SDVoE

Christieは、SDVoE技術を採用し、SDVoEに企画されたすべてのスペックを満たす「Terra」を開発しました。

 

Terraの概要

Terraは10Gネットワークを使い、4K60p 8-bit 4:4:4、10-bit 4:2:2、10-bit/12-bit 4:2:0をレイテンシーフリーで伝送することが可能です。他の伝送規格と違い、非圧縮(一部ロスレス圧縮)ですので、プロセスによる遅延を最小≒33msに抑えています。また、HDMI/DPのメタデータ転送も行いますので、HDCP2.2対応、ビットストリームマルチオーディオ7.1ch、HDRの信号種別識別も伝送可能となっています。
TX入力はHDMI2.0若しくはDP1.2、RX出力はHDMI2.0となります。TXのEDIDはTerra内蔵のものかRXに接続されたディスプレイ情報をスルーする方法、またはディスプレイから抽出してファイルにしたものを流用できます。
その他にアナログアンバランスステレオオーディオ、RS-232、IR コントロール、ギガビットイーサネット、USBの伝送をサポートします。オーディオはエンベデットとアナログを相互に交換して使用することができます。

Christie Terra Receiver
Christie Terra Receiver

全体のシステム構成は、このTXとRXをソース、ディスプレイの必要台数分。システムのコントロールを担う「Christie Terra Controller」が1台。コンソールWindowsPC。そして、NETGEARのM4300シリーズ10GBASE-T フルマネージ レイヤー3スイッチの組み合わせとなります。

Christie Terra Controller
Christie Terra Controller

また、他のSDVoE機器にはない特徴として、Christieの他の製品、PandorasBoxやSpyder X80と同様に、「Widget Designer」インタラクティブアプリケーションビルダーによるコントロールが可能です。これは、ユーザーのニーズに合わせてレイアウトリコールを始めとした各種コントロールコマンドを備えたボタンを自在に配置するコントロールGUIデザインソフトウェアです。

Widget Designer_GUI
InterBEE2019で使用したWidget DesignerによるコントロールGUI

このGUIデザインソフトウェアを使うことにより、例え業務AV機器オペレーションの経験がない方でも安心してTerraのコントロールをすることができます。

今後、Christieのプロジェクターにビルドインされたり、イベントスイッチャーと融合する可能性もあるSDVoE。Pro-AVの今後のスタンダードとして、確実に浸透していくこのソリューションを、是非体験してください。

 

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