製品のヒントとアドバイス / xPressCue 4Kメディアプレイヤー

公開日:2023/07/05最終更新日:2023/11/30

xpresscue技術者向けサムネイル (800 × 600 px)

この記事ではTheatrixx(シアトリクス)の4KメディアプレイヤーであるxPressCueの製品Tipsをご紹介いたします。関連記事であるクイックスタートガイドと合わせて参考にしていただければと思います。

 

目次

1.xPressCueのファイルのコーデックについて

2.静止画ファイル形式と解像度について

3.EXT SYNC入力とSDI出力

4.ファイルの削除について

5.DMXでの制御について

6.GUIオペレーションのTips

7.複数台の同時再生

8.2つあるネットワークポート

9.WebブラウザーPCのスペック

 

1.xPressCueのファイルのコーデックについて

xPressCueは業界で使われている殆どの種類の動画ファイルを読み込むことが可能です。しかし、再生するためには一旦内部でxPressCueが運用するネイティブのコーデックに再エンコードを行う必要があります。xPressCueは、主な機能を「再生」において設計されているため、この再エンコードの機能はあまり得意ではなく、多くの処理時間を必要としてしまいます。また、xPressCueの中に元のファイルと再エンコード後のファイルが両方保存されてしまうため、ストレージの容量を浪費します。可能な限り、xPressCueに読み込ませる前に、パソコンを使ってxPressCueの再生に適したファイルに変換していただくことをお勧めします。

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再エンコードは自動的に行われるので操作する必要はないが、再生して見えるようになるまで時間がかかります。

xPressCueのネイティブコーデック

xPressCueが使っているコーデックは H.264/H.265 です。そのため、ファイルはmp4形式に変換をしてから読み込ませるのが、適切なワークフローです。ではそのコーデックの詳細はというと、残念ながらまだ最適な設定値はメーカーから発表されていません。
ここでは、テクノハウスがxPressCueのテスト、検証、およびデモンストレーションで使用している設定についてご紹介します。そのため、これが最適なコーデックであるという保証はありませんが、おおむね問題なく使用できるコーデックのプロファイルになると思います。UHD60pとHD60pの場合をご紹介しますが、30pや59.94pの場合もこれを参考に検証してください。なお、設定はAdobe Media Encoderの項目をもとにしています。

UHD60pの場合

  • HEVC(H.265)
  • 幅:3840 高さ:2160
  • フレームレート:60
  • プログレッシブ
  • 縦横比:正方形ピクセル(1.0)
  • メインプロファイル(HDR10の場合はメイン10)
  • レベル:5.1
  • レイヤー:High
  • カラースペース:Rec.709(HDR10の場合はRec.2100 PQ)
  • ビットレートエンコーディング:CBR
  • ターゲットビットレート:35Mbps
  • キーフレーム間隔:30フレーム

HD60pの場合

  • H.264
  • 幅:1920 高さ:1080
  • フレームレート:60
  • プログレッシブ
  • 縦横比:正方形ピクセル(1.0)
  • ハイプロファイル
  • レベル:4.2
  • カラースペース:Rec.709
  • ビットレートエンコーディング:CBR
  • ターゲットビットレート:12Mbps
  • キーフレーム間隔:30フレーム

オーディオ(共通)

  • オーディオ形式:AAC
  • サンプルレート:48kHz
  • チャンネル:ステレオ
  • ビットレート:320kbps

 

2.静止画ファイル形式と解像度

xPressCueが読み込むことが可能なファイルは、動画ファイルではApple MJPEG-B、Apple ProRes、DV、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4 part 2、H.264 / AVC / MPEG-4 AVC / MPEG-4 part 10、HEVC、QuickTime (v210 / v308 / v408 / v410)、WMV、FLV1 / Sorensonと、多岐にわたっていますが、実際のところ先だってご案内しました通り、ネイティブのH.264やHEVCに内部変換をされて再生可能になります。そのため、事前準備ができる範囲では、外部PCによる適切なファイルへの再エンコードを経てからxPressCueへ読み込ませることが、ワークフローとしては無理のない運用方法であると、”1.xPressCueのファイルのコーデックについて”の項ではご案内しました。

では、静止画ファイルではどのような運用方法になるでしょうか。
xPressCueは動画ファイル同様、静止画ファイルの送出にも対応します。対応ファイルはJPEG、JPEG-2000、PNG、BMP、GIF、TIFFです。残念ながら現状ではアルファチャンネルの送出はできません。これらの静止画ファイルを読み込むと、xPressCueは内部で5秒間のH.264コーデックのファイルを自動で作り、動画ファイルと同様の扱い方で再生する準備を整えます。
ユーザーはここで注意が必要です。5秒間の動画ファイルはLoop設定がOFFのため、そのままでは再生が5秒で終了してしまいます。静止画として再生するならLoop設定をONにすべきです。

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Webブラウザーコントロールから静止画ファイルのサムネイルの「︙」をクリックすると現れるメニューの「Imspect」をクリック

 

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右側に表示されるメニューの「PlaybackParameters」項目にある「Loop」をONにする

これでこのファイルは、静止画として再生し続けます。(なお、この点については次期バージョンで最初からLoop-ONになるよう、改善を依頼しています。)
この「Imspect」の内容はファイル毎の再生設定で、再生方法を管理するために多くの頻度で使うことがあります。このやり方を覚えておきましょう。
xPressCueの大きな特徴の一つとして、アップダウンスケーリングを持っているということが挙げられます。つまり、再生するファイルの解像度、フレームレートにかかわらず、「Settings」の「Video」で選択したOutput Resolutionで出力ができるというものです。
Output Resolutionは、SDI出力に関わることからSMPTEの規格での選択肢から選びます。ところが静止画ファイルだと、写真サイズや印刷サイズ、VESA規格のサイズなど、ファイルの解像度やアスペクトレシオは多様です。また最近はスマートフォンの縦型動画など、動画ファイルのアスペクトレシオも、必ずしも16:9とは言い切れなくなっています。アスペクトレシオがOutput Resolutionと異なるファイルを再生する場合については、ファイル全体を表示するよう縮小率を調整し、余った部分は黒表示にします。

 

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8000×3623の静止画は横幅3840に縮小し、上下に黒

 

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750×1334のiPhone SEは縦幅2160に拡大し、左右に黒

もし、素材のアスペクトレシオを無視して、画面いっぱいに表示を広げたい場合は、「Settings」の「Geometry」にある「Preserve Content Aspect Ratio」をOFFにしてみてください。

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これは、ディスプレイ側でアスペクトを拡張する場合などで、出力信号すべての情報量を使い高解像度を実現したい場合などに便利です。

 

3.EXT SYNC入力とSDI出力

UHD59.94pが出力できない?

xPressCueのWeb GUIによるコントロールで、settings/videoから出力信号の解像度やフレームレートを設定することができます。その「Output Resolution」ドロップダウンリストの中に「3840×2160 60p」は存在しますが、「59.94p」は存在しません。いわゆるUHD解像度の出力ではこの部分に制限があることをご承知おきください。

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解像度の選択肢に「3840x2160P59」は現れない

では、xPressCueは「3840×2160 59.94p」の出力には対応していないのかというと、実は別の方法で設定することが可能です。

 

xPressCueでのGenLock

xPressCueの背面にはEXT SYNC入力のBNCコネクターが用意されています。xPressCueの仕様では、ここに入力可能なのは3値シンクで、NTSC-BBは入力しても動作しません。

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SDI出力の上にEXT SYNC入力とTHRU出力のBNC端子

通常、EXT SYNCはGenLock、つまり、他の機器と信号のタイミングをそろえる「同期」のために使用され、イベント映像機器や常設展示映像では、この同期をそろえなくても正常に映像を表示させるよう、スイッチング機器の入力にバッファーを持たせています。
しかし、xPressCueの場合は、同期のほかに、SDI出力のフレームレートをEXT SYNCに入力された3値シンクのフレームレートにそろえる役割があります。
先ほどのOutput Resolutionで3840×2160 60Pに出力を設定していたとしても、EXT SYNCに59.94の同期周波数、例えば1080i59.94の3値シンクを入力すれば、SDIの出力は3値シンクのフレームレートに自動的に追従して「3840×2160 59.94P」で出力されます。
この方法では、3値シンクに影響されるのはSDI出力だけですのでHDMIやDisplayPortはOutput Resolutionの設定のままです。

 

xPressCueで2種類のフォーマットを出力

このように、2種類のフレームレートを出力できると、例えば少し古めのプロジェクター設備を使った公民館などで、上映とその様子を簡易ライブ配信する場合などに便利です。

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プロジェクターには1080i59.94、配信には1080p29.97が使える

 

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この方法を使う場合は、なるべく両者が近いデータレート(3Gどおし、1.5Gどおしなど)で行ってください。

 

4.ファイルの削除について

使い終わったファイルは消したい

xPressCueは内部に1TBのストレージを持っていて、ファイルを再生するためにはそのストレージにファイルをコピーする必要があります。

ある程度使用していると、内部に使用済みのファイルがたまりはじめます。1TBと大容量のストレージがあるとはいえ、ある程度たまる前にファイルを消去し、整理する必要が出て来るでしょう。
ファイルの消去は、Media Managemantでファイルの下の「︙」をクリックし、「Delete」をクリックすることでxPressCueから消去されます。

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ファイル単体の消去のほか、フォルダ丸ごと消去することも可能

 

Resetメニューからは削除できない

一つずつファイルを削除しようとするならこの方法でできます。また、イベント毎にフォルダで管理している場合も、同じ方法でフォルダ丸ごと消去が可能です。しかし、xPressCueの中身を一度まっさらにしたいといった場合は、それぞれのフォルダでこの作業を繰り返さなければなりません。
既に使用されているユーザー様には、SettingsのResetメニューに「Erase All Content」があるのをご存じの方もいらっしゃると思います。しかし、2023年7月現在の最新ソフトウェア、V1.3.1ではこのメニューから完全にファイルを削除することはできません。
Erase All Contentを実行すると、Media Managemantからファイル、フォルダとも削除され、Snapshotも削除されます。しかしながら、ストレージの使用領域は減っていないので、ストレージ内にファイルは残ったまま表示だけがされない状態になってしまいます。また、その状態からでは当然Media ManagemantでDereteすることもできません。

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Resetメニューの「Erase All Content」では、ファイルの実態は削除できない

この、見えないファイルがストレージ容量を圧迫している状態を解消するには、ストレージを物理的に取り出し、外部ツールにて削除する必要があります。ユーザー様で行っていただくこともできますが、テクノハウスにお持ち込みいただければメンテナンスとして対応いたします。
この事例は、V1.3.1の不具合事例としてすでにメーカーに報告済みで、次に更新が計画されているV1.4.0で解消される予定です。それまでの間は、Media Managemantから個別に消去していただきますよう、お願いいたします。

 

5.DMXでの制御について

調光卓から制御するには

xPressCueをリモート制御するいくつかの方法の中に、調光卓からのDMX制御信号を使用する方法があります。xPressCueの背面にはDMX-512受信用のXLR5pinコネクターがあり、スルーアウトを備えているので、xPressCueから他のDMX機器に制御信号を受け渡すことが可能です。
調光卓を接続した場合のパラメーターについては「settings」の「DMX Control」を参照します。

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DMX-512に接続があると、「DMX-512 input」のステータスが緑色に変化します。

12のパラメーター

xPressCueはDMXのアドレスを連続した12個専有します。「DMX Address」の値がデフォルトの1の時、調光卓の1~12までを使用することになり、もし調光卓の11以降を使って制御したいのであれば、DMX Addressを11に指定し、調光卓の11~22を使って制御することになります。

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検証には「Q Light Controller Plus」を使ってみます

 

DMX Addressを1に指定し、調光卓の1のフェーダーを動かすと、「Master Intensity」というパラメーターが動きます。これは「Settings」の「Video」ページの一番上、Master Intensityの値になります。

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1のフェーダーを動かすと、「Master Intensity」の値が変化する

同様に2~4のフェーダーは「Colorimetry」のRGBの値、5は「saturation」を調整します。(1~4の初期値は255、5の初期値は128で、ファイルの持つオリジナルの色になります。)
6のフェーダーは出力音量の調整となります。

 

7以降は数値調整以外のパラメーター

7以降のフェーダーは数値調整以外のパラメーターを制御しています。
7は「Play Mode」これはGeneralのPlayback Modeの3つの選択を切り替える役割で、255に近いと「Playlist」、中央値128あたりでは「A/B Preset」、0に近くなると「Direct」が選択されます。

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8のフェーダーは「Play State」で、これはTAKE時の動作状況を指定します。0に近いとStopで、255に近いとPlayingとなります。つまり再生中にこのフェーダーを絞るとStopボタンを押したのと同様に動画は停止し、フェードアウトします。
9のフェーダーは「Take Next」です。PlaylistモードやA/B PresetモードでNextをTakeするのと同じ動作です。フェーダーを最大まで上げると同時にTakeされます。
10、11のフェーダーでNextにスタンバイするクリップを指定します。Media Managementでクリップを右クリックし、「Inspect」をクリックすると、クリップの詳細設定が現れます。この中の「Remote Control」を開くと「DMX Value」という数値が指定でき、この2つの数値「High」「Low」の組み合わせをDMXフェーダーで再現することにより、この指定されたクリップがNextにスタンバイされます。

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この2つの値の組み合わせにより、10と11のフェーダーからNextのクリップを呼び出す

最後の12は「Control page」フロントパネルのボタンレイアウトを複数ページにまたいで設定したとき、そのページを呼び出すことができます。DMXの時間制御で自動的にオペレーションのボタンレイアウトを切り替えたい時などに便利です。

6.GUIオペレーションのTips

xPressCueをWeb GUIからオペレーションする場合の、いくつかの便利な機能をご紹介します。

ダークモード

舞台袖などでxPressCueをオペレーションする場合などで、PCのディスプレイが明るいとオペレーターの姿が照り返されてしまい、舞台の邪魔になる場合があります。
GUIの右上の「月」のアイコンをクリックすると、GUIはダークモードになり邪魔になるのを防げます。

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右上の月のアイコンをクリックすると、ダークモードに変化します。

 

プレゼンタービュー

同じく、右上の「画面」のアイコンをクリックするとプレゼンタービューが起動します。

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プレゼンタービュー

プレゼンタービューは舞台上の講演者などに動画再生の状況を提供するもので、現在再生している動画とその名前、再生時間と残り時間が表示されています。また、PlaylistモードやA/B Presetモードでは次に再生されるNEXTにCueされている動画ファイルのサムネイルも表示されます。その他の操作にかかわるアイコンやメニューは表示されません。
プレゼンタービューは通常のWeb GUI操作画面とは別のタブとしてWebブラウザーに表示されるので、PCのマルチディスプレイを使用して拡張ディスプレイに表示、講演者用の卓上ディスプレイにすることができます。

操作バーの拡大

下部の灰色の操作バーは、クリップをTAKEしたり、早送り、巻き戻しの操作などで使用する頻度の高い場所です。この操作バーはオペレーターが操作するのに適した大きさに、3段階で変更することが可能です。

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操作バーの右端に「+」「-」のアイコンがある

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この操作バーだけ、用途に応じて拡大が可能

早送り、巻き戻しのスパンをカスタム

操作バーのセンターにはTAKEボタン、Play/Pauseボタン、Stopボタンが並んでいます。その外側には丸い矢印のアイコンの早送りと巻き戻しがあり、10秒のスパンで動画を現在の再生位置から早送り・巻き戻しができます。さらに外側にはクリップの開始10秒目と終了10秒前へのジャンプボタンがあります。
早送りと巻き戻しは、初期値では10秒ごとのスパンで動作しますが、このアイコンを右クリックすることでスパンの値を変えることができます。

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右クリックでは10秒の他に5秒おきと30秒おきを選ぶことができ、さらにCustomを選ぶことで好きな秒数のスパンを行うボタンにすることができます。

クリップの詳細設定をする「inspect」

左側上から2番目のフォルダのアイコン、Media Managementページでは、クリップのインポート、削除、設定変更等ができます。このページでクリップのアイコンをダブルクリックすると、右側にinspectが表示され、より詳細なクリップの設定ができます。この時、inspectにより操作バーやアイコンが見えなくなってしまい、操作しづらくなってしまうかもしれません。inspect上部「Toggle Floating Mode」アイコンをクリックすることで画面は圧縮され、これは解消されます。

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Floating Modeになることで画面が圧縮され、操作可能になる

inspectは、Live Controlのページではクリップの右クリック、もしくはクリップサムネイルの縦三点リーダーのクリックで表示できます。またMedia Managementのページではサムネイルのダブルクリックでも開くことができます。

7.複数台の同時再生

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xPressCueは同じネットワーク上に存在するほかのユニットとリンクして、同時に複数台の再生を行えます。
注:xPressCueは再生時にフレームレベルの再生精度を求めることができません。したがって、この方法で複数台の同時再生を行う場合でも、ブレンディング用の分割再生やKey/Fillのようなデュアルリンク同期の用途には対応しません。離れた場所にある複数のディスプレイで同時に再生をする、といった、おおまかな精度の用途にご使用ください。

接続

それぞれのxPressCueの背面パネルに電源と出力ケーブルを接続します。また、背面パネルの1Gbイーサネットポートにネットワークケーブルを接続します。
それぞれのxPressCueは同じセグメントの上に存在している必要があります。

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任意の固定IPでも、DHCPによる自動割り当てでもかまいません。
同じネットワークセグメント内に存在するようにそれぞれの背面パネルのイーサーネットポートを設定してください。

 

設定

同じネットワークの中に存在する他のxPressCueが、SettingsのMulti-Deviceに見えるようになります。

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操作の主となるxPressCueのModeを「Master」に設定します。また、追従するxPressCueのGUIに移動、Modeを「Follower」とし、MasterのxPressCueを選択します。

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それぞれのSettingsのGeneralからPlayback Modeに「A/B Preset」を選択します。

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MasterのGUIに戻り、Media Managementからクリップのサムネイルをダブルクリックしてinspectを開きます。Remote Controlのメニューを展開すると「Remote ID」を設定できます。これをコピー&ペーストし、MasterのクリップのRemote IDとFollowerのクリップのRemote IDを同じIDに揃えます。MasterのクリップとFollowerのクリップのRemote IDが同じであればいいので、片方をコピー&ペーストするか、任意の文字列を設定してください。

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クリップのRemote IDをMasterとFollowerでそろえる。

 

同時再生

これで、Masterのクリップを選択し、TAKE再生すると同時にFollowerのクリップも再生されます。GUIのTAKEのみならず、Masterの前面パネルのTAKEボタン、StreamDeckのボタンからも同様に同時再生できます。MasterのクリップでLoopを設定していればFollowerも追従します。しかし、同期管理はされていないので、長時間Loopし続けるとズレが生じることに注意してください。

 

8.2つあるネットワークポート

xPressCueには前面と背面パネルに1Gbイーサネットポートがついています。それぞれのポートは独立したIPアドレスを持つことができ、制御系ユーザーインターフェースの柔軟性を提供します。
2つのポートは同じ役目を持ち、接続性能も同じですが、若干の違いがあります。
xPressCueはユーザーインターフェースをWebブラウザーで提供します。このWeb接続に関しては、どちらのポートでも等しく使用可能で、両方から同時に設定変更、コントロール、コンテンツの伝送等を行えます。
Webブラウザーの他にネットワークを通じて外部制御を受ける方法として、xPressCueはsACNやArtNetといったネットワークを使ったDMXでの制御が可能です。これに関しては背面パネルのイーサネットポートを使用してください。
また、複数台のxPressCueを連動させるMulti Deviceを行う場合も、ネットワークスイッチへの接続には背面パネルのイーサネットポートを使用してください。

設定上の注意

ネットワークのIPアドレスを設定する場合に、2つのポートのIPアドレスが同じセグメントに重複しないように設定する必要があります。

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「Network interface configurations overlap. This may cause unintended consequences and is not recommended. Choose a different configuration.」
このメッセージが表示される場合はIPアドレスを別セグメントにしてください。

このエラーメッセージが表示されている状態ではinspectでのクリップのループ設定など、一部の設定変更がうまく反映されない場合があります。
特に、両方のポートを同じネットワークにつなぎ、両方ともDHCPでのIPアドレス自動設定にしている場合は重複が簡単に発生します。ご注意をお願いします。

 

9.WebブラウザーPCのスペック

xPressCueはWebブラウザーでのコントロールを主軸に、動画再生の制御を行います。この際のPCにはどの様なスペックを必要としているか、ご案内しようと思います。

出来れば最新のスペックを

操作するインターフェースはWebブラウザーにより表示されるGUIですので、Webが表示可能ならば基本的には使用可能です。弊社ではChromeおよびEdgeでの動作検証をしております。また、少々画面は狭いので使いやすくはないのですが、iPadのSafariでも表示、コントロールは可能でした。基本的に、再生の制御をするだけならば、Webブラウザーが動作すればよく、それほど多くのスペックはPCに求められません。しかし、快適に操作することを望まれるようでしたら、出来る限り最新スペックのPCをお勧めします。

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ABプリセット再生モードでのWebブラウザー画面では多くの再生が画面上に行われる

 

まず、動画再生中にWebブラウザーは現状再生している動画をリアルタイムで表示しています。これはxPressCueからPCへ向けてストリーミングを行っているのに等しいので、それだけでも表示能力がある程度必要です。また、ABプリセットモードなどの場合、Up Nextの画面に、次に再生を予定されているクリップが表示されています。xPressCueの出力とは別に、このUp Next画面はWebブラウザー上で再生を行うことが可能です。これにより再生前にクリップの内容を確認することができます。

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Up Next画面上での再生確認用シークバー

このクリップ再生にはPCの性能が要求され、特に4K解像度のクリップをこの画面上で再生する場合には最新のスペックを用意していただく必要があります。弊社の検証ではCore i7-1265Uを搭載したノートPCで表示が可能でしたが、Core i5-8265Uを搭載したノートPCではシークバーがグレーアウトしてしまい表示できませんでした。この点に関してはInspectで表示されるPreviewセクションの表示も同様で、ここでは再生In点Out点や、サムネイルのポイントが指定されますので、表示できないとその機能が使えなくなります。

再エンコードの為にも高いスペックのPCを準備いただきたい

現場で突然、予定にない動画を追加で再生しなければならない状況はよくあるケースだと思われます。xPressCueはネイティブのファイルにH.264かH.265を使用しますが、急に持ち込まれたH.264/265以外のコーデックをインジェストした場合でも、内部で適切な形式に再エンコードし再生に備える機能があります。しかし、その機能はあくまでエマージェンシー(緊急時)を想定した設計で、xPressCueの再生エンジンは高解像度の再生に注力しているため再エンコード機能は得意ではありません。多くの場合、PCなど外部で再エンコードし、1Gb LANやUSB3.0でxPressCueにコピーしたほうが早く良い結果が得られます。これを踏まえて、出来れば高いスペックのノートPCでWebブラウザーコントロールを行い、併せて再エンコードの準備に備えていただければと思います。

 

以上になります。
今後、メーカーより発表があり、さらに適切な設定値が判明しましたら、改めてご案内いたします。

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